絵本の選び方・読み聞かせの仕方など情報満載
絵本選びのポイント
どんな絵本を選べばいいの?
現在、我が国で出版されている児童書は約30000冊、その中で絵本だけで7500冊、まさに洪水の様な状態の中で、どんな絵本を選べばいいのでしょうか?
昨年一年間の新刊だけでも児童書 約4800冊、絵本 約2300冊と言われています。 でも、一年後にそのほとんどが子供達に受け入れられないで、初版だけで絶版、休版という状態です。 そんな中で、10年、20年と生き残って出版され続けている絵本は大きな力を持っていると思います。
「長年にわたり出版され続けている絵本を選ぶ」これも、「安心の絵本選び」の一つの方法だと思います。 もう一つの方法として、各種書評や絵本リストから選ぶという方法があります。しかし、これはなかなか難しい状況です。なぜなら、新聞や雑誌の書評が話題性を重視するために新刊を中心とし、本来子供に必ず読んでほしいような絵本はほとんど載せていません。絵本リストをいろいろ集めてみると「え!」というような絵本が選ばれていることもあります。特に、販売を目的としたサイトのお薦め絵本リストには、多くの疑問があります。
そんな中で、各地公共図書館から出されている絵本リストはかなり信用できると思います。私共では、できるだけ多くの公立図書館のリストを集計し、多くの図書館から支持されている絵本をピックアップしてみました。これがもう一つの「安心の絵本選び」だと思います。
長年にわたり出版され続けている絵本
たくさんの資料の中から、出版年ごとに集計し、20年以上経った絵本を集めてみました。
公立図書館から支持されている絵本
全国の都道府県立図書館54館にお願いし、推薦絵本リストの資料請求したところ、44館からの返信があり、その中の26館がリストを作成していました。その「幼児向け推薦絵本リスト」や、現在日本が世界に誇るリストと言われている東京子供図書館の「私たちの選んだ子どもの本」などを集計し、複数回推薦されていた絵本を集めてみました。
図書館ランキングTOP5
安心の絵本リスト
この2つのリストを更に集約し、当社推薦の絵本を対象年齢別にリスト化しました。
「これなら安心」おすすめ絵本リスト
これらは、子供が成長する中で必ず読んでほしい、経験してほしい、味わってほしい絵本ばかりです。
子供の手をひいて本屋さんに行っても、失敗することが多いのは、上記のような絵本がほとんどないからです。
子供は絵本が大好きです。どんな絵本でも読んであげると喜びます。でも、せっかく読んであげるのなら、聞いている言葉から自然に文体感覚が身に付くような美しい日本語で書かれ、見ている絵から自然に美的感覚が身に付くようなデッサンのきいた絵で描かれた良い絵本を与えるべきです。子供の成長に欠かせない良い絵本を、失敗のないように、後で後悔しないように「これなら安心の絵本リスト」を、ぜひ御活用下さい。
読んであげるときのポイント
- 1心を込めて読んであげましょう。
- 2途中で質問しないで下さい。
- 3感想を聞かないで下さい。(読み終えると、子供の心は感動で満ちているので、それを壊さないことです)
- 4表紙から裏表紙まで丁寧に見せて、書いてある文章の通りに心を込めて読む。読んだら読みっぱなし。誰にでもできます。
子供を確実に本嫌いにするのは、「早くから文字を教える」、「自分で読ませる」、「読み終えたら必ず感想を聞く」だそうです。
反対に、本好きな子供に育てるには、「早くから文字を教えない」 なぜなら、文字は言葉を記号にしたものにすぎないからです。まず、必要なのは「言葉の獲得」です。そのためには、「美しいことば」、「心のこもった言葉」を耳からたくさん聞くことが大事です。
そして、「自分で読むのではなく、読んでもらう」言葉を耳から聞き、絵を読むことが大事です。文字を覚えて読んでいる子は、文字を読んでいるだけで絵を読んでいません。「ことば」をもとに、イメージを描いてその世界を体験し楽しむことが読書です。
「読んだら読みっぱなし、感想をきかない!」 読み終えた子どもの心は感動でいっぱいです。心からの感動を大切にしましょう。
読み聞かせの効果
- 1親子の豊かな心のふれあいができます。
- 2子供の心が豊かに育ちます。
- 3子供の言葉が豊かに育ちます。(言葉の獲得は、思考力の獲得です)
- 4人の話を聞く力と、ものを見る眼が育ちます。
- 5読書の習慣がつきます。心を込めて読んであげましょう。
年齢別絵本の与え方
0-1才児
赤ちゃんは生後6,7カ月くらいから絵本を楽しむことができます。書いてある文章にこだわらないで、絵を見せて対話の材料にして下さい。お母さんお父さんのやさしい声、暖かい声、心のこもった声をたっぷり聞かせてあげましょう。だっこして、添い寝して読んでもらう子どもの心は「安心」でいっぱいです。選んだ絵本の絵がとても大切です。デッサンのきいた芸術性の高い本を選びましょう。自然に美的感覚が育ちます。
1-2才児
絵を見せて、対話の材料としての絵本体験を積んできた子どもは、人の声に耳を傾ける習慣がついてきます。また、1才を過ぎたこの頃から、簡単なストーリーを理解できるようになってきます。起承転結を理解し楽しみ始めます。さぁ読書のスタートです。
3-4才児
この年頃の子どもは、いろいろな物に興味をもつ多感な時期だと思います。また、多感なゆえに刺激の強い物に興味を持ち楽しむでしょう。しかしながら刺激の強い物(TVや、光を放つおもちゃなど)を与えすぎてしまうと子どもの情緒は不安定になってしまいます。落ち着いた気持ちで一日を過ごすためにも絵本をどんどん活用していただきたいです。夜、寝る前に必ず、2冊以上読んでもらうというのが理想的です。
子どもの読書は
「繰り返しの読書」
私たち大人で、一度読み終えた小説をもう一度読む人は少ないですね。
でも、子どもは好きな絵本は何度でも読んでもらいたがります。なぜでしょうか?
子どもの心の中に新しい事を知りたいという未知への期待感がありますが、いつもいつも知らないことばかりに出会うと、「これからどうなるんだろう」という不安な気持ちもあります。
例えば、私たちがコンサートに出かけて、知らない曲の中に知っている曲が出てくるとホッとしますね。子どももまさにそうなのです。まだ幼い子どもたちは、この世の中に知らない事の方が多く、その中で知っていることに出会うとホッと心が安らぐのです。この既知との出会いの安心感はとても大切です。
「結末を知っているからこそ、安心して主人公と一緒に冒険ができるのです。」
そして、その絵本体験が楽しいから何度でも味わいたいのです。同じ絵本を何度も要求してくる子ども程、その絵本の世界をよく理解し楽しんでいる読書指導のよくできている子どもなのです。
子どもの読書は繰り返しが特徴です。そして繰り返すためには、借り物ではなく自分の絵本でなければできません。
愛読書となりえるような力をもった良い絵本を、月に2、3冊は与えてあげましょう。そして大人の本棚の片隅でも、三段ラックでも、段ボール箱でもいいですから、その子の本棚を作ってあげましょう。その小さな本棚の質と量はその子の一生の読書の方向を決め、それらの絵本は一生の宝物になるでしょう。
絵本の大切さ
このサイトを訪れて来られたあなたは、多かれ少なかれ絵本に興味をお持ちの方だと思います。でも、一歩進んでなぜ絵本が子供に必要なのでしょうか?
どんな絵本を与えれば良いのでしょうか?
米国の小児科医会は、1999年「2歳児まではテレビを見せるべきではない」という提言を出しています。
日本小児科医会も2003年に「子供とメディアの問題に対する提言」を発表し、乳幼児がメディア(テレビ、ビデオ、ゲーム)に接する時間を制限するよう呼びかけました。
同会によると、言葉が遅れていたり、視線を合わせられない、友達と遊べないといった乳幼児が最近臨床現場から数多く報告され、そうした家庭ではテレビやビデオを長時間見せている例が目立つそうです。
「いま、こどもたちがあぶない!」(古今社)の著者で、仙台国立病院小児科医長の田澤雄作氏は、「テレビ、ビデオの過度の刺激による脳の慢性疲労が子供達の中に起こっている。そして脳の慢性疲労から、その子が持って生まれた能力を充分に発揮できない子供が大勢います。」と言われています。
しかし、現実には母親の7割が授乳中にもテレビを視聴しています。今こそ、「テレビを消した子育て」を意識して行う必要があります。子供達に「テレビを消しなさい!」と言う前に、テレビより楽しい家庭環境を作ってあげましょう。「絵本を読んであげるよ」と言えば、どの子もテレビから離れて寄ってきます。
「星の王子さま」の本の中に、こんなセリフがあります。「あんたがあんたのバラをとても大切に思っているのはね、そのバラのためにたくさんの時間を費やしたからだよ。」 かけがえのない子供に、かけがえのない時間を費やし、「手づくり子育て」をしてあげましょう。
幼年童話について
将来、本格的なファンタジーを楽しむことのできる少年少女に育ってほしいですね。でも、その為にはその前に童話の世界があり、その前に幼年童話の世界を楽しむ必要があります。
言葉を聴いてイメージを描けない幼児の為に質の高い絵のついた絵本をたっぷり楽しんだら、そろそろ幼年童話の世界が待っています。
対象年齢
読んでもらって楽しむことのできる年齢と、自分で読んで楽しむことのできる年齢にはかなりの差があります。例えば、「おおきなかぶ」の絵本でも、読んでもらうと2~3歳でも充分楽しんでいますが、自分で読むとなると小学校一年生の教科書にそのまま出ているほどです。
幼年童話も読んであげると4~5歳くらいから楽しめますし、自分で読んで楽しむなら小学校初級~が対象年齢の目安となります。
名作絵本の罠
名作絵本とは「古典的な名作を極端にダイジェスト化した絵本」です。500ページからなる物語を、何十分の一に縮めれば、話の筋の単なる解説にしかすぎないことは常識的にみてもわかります。
いわゆる名作絵本は、ダイジェスト版であり、原作とはほど遠いものになってしまっているのです。「名作絵本」というのは、「原作が名作である絵本」という意味で、絵本そのものは偽物ということになってしまいます。
でも安心してください。小学校の高学年にもなれば「本物」が子どもたちを待っています。
本物の名作に出会う前に童話の世界を楽しむことが大切ですし、童話の世界の前に幼年童話の世界があります。そして幼年童話の世界の前に絵本の世界があるのです。
年齢に合った良質の絵本を体験する事が将来の読書生活の入り口です。
おすすめ幼年童話
童話について
子どもは誰でも潜在的に読書が楽しめる能力をもって生まれてきます。その能力をスムーズに芽生えさせ、育て、花開かせていくのは、絵本を仲立ちにして子どもたちと密接に関わる大人の役目です。優れた絵本にたくさん出会わせてあげた後は、本格的なファンタジーを楽しめる「名作童話」の世界が子どもたちを待っています。
100年以上にわたり読み継がれてきた名作を子ども達とぜひ出会わせてあげたいものです。
個人差はありますが童話の対象年齢は小学校中学年~となります。
童話の世界に入る前に、ぜひ幼年童話を子どもと一緒にめくりながら読んであげる事をおすすめします。
幼年童話を体験した子どもは、好奇心と空想力が発達し、本そのもののおもしろさを実感できるようになります。